あと5分で

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あと5分…… もってあと5分だろう。 「まだか、まだなのか……」 重要な会議中、尿意が…… トイレっていうもんは、行けない、我慢しなければなんて考えれば考えるほどに行きたくなるし、我慢できなくなる。 「この箱の中身は絶対に開けてはいけません」って言われたのに開けてしまっておじいさんになってしまった男や「押すなよ、絶対に押すなよ」って言われたのに押してしまうお笑い芸人と同じようなものだ。 会議は長引いている。終了予定時刻の15時を過ぎたと言うのにいっこうに終わる気配がない。 正直に言って謝って退席させてもらうか。 「申し訳ありません、少しばかりお手洗いに言ってもよろしいでしょうか?」 でも言える雰囲気じゃないよな~…… あえて、砕けたように言ってみるか? 「現在、私の膀胱はパンパンでございまして、今にもこのピストルから大量の水が流れてしまいそうなのですが……」 ダメだ……絶対にクビになる。 サインを送るか? 同期入社の坂本に…… 他力本願だが、坂本は同期の中で1番頭が切れる。何かいい案を考えてくれるかもな。 「頼む坂本、気付いてくれ」 手で、アルファベットのTをつくって坂本に見せた。 坂本はすぐに気付いてはくれたが、俺の顔を見てにっこりと笑うと、麺をすするようなジェスチャーをした後に親指でグーサインする。 「ちげ~よ。あいつ勘違いしてやがる」 たぶん、Tを「虎鹿屋」のTと勘違いしたのだろう。 「虎鹿屋」とは仕事帰りによく行くラーメン屋。あっさり系の醤油ラーメンとつけ麺が絶品の店だ。 「虎鹿屋に行く約束は今してね~よ!」 時間は進む、俺の尿意も進む。  
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