迎え火

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ネーチャンは貰われていったみんなとは、距離をあけてた。 サヨナラするからだろ。 ネーチャン、サヨナラ苦手だもんな。 いつからか、俺たちとはサヨナラしないって呪いだしてさ、かーちゃんに甘えるようになった。 ばかだなあ。 猫に呪いは効かないんだ。 教えてあげたのに、だいじょーぶ、シロコさんは長生きよ、って、そればっかだった。 俺がいなくなって、デメがいなくなって、呪いは効かないって、ネーチャンわかっただろ。 天上からは近いんだ。いつでも会いに行けた。ネーチャンは気付いたり気付かなかったりだ。 かーちゃんは天上(ここ)で、いろんなものを狩ってくる。デメも一緒についていく。ネズミのおもちゃ。キラキラボール。カラフル羽根のトンボにギラギラピカピカ魚。 軽い躰になって苦しいことなんてひとつもないんだ。 おいていったわけじゃない。 ネーチャンを捨てたわけじゃない。 わかるだろ。 わかってるんだろ。
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