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目を開けると夜だった。豆電球の下に一人きりで転がっていた。
あいつら、俺を寝かしつけて本当に大人しく帰ったんだなあ……
掛けっぱなしのエアコンは適正な湿度までを奪い、喉が酷く渇いている。
体は相変わらず重怠いけど、小腹は空いている模様だ。
「水………飲も」
声が枯れてるのもエアコンのせいだろう。あと、双子にツッコミを入れる際に声を張り過ぎたのかも知れん。
『俺ら紳士だから』
無理強いしないのは確かに紳士的な振る舞いだ。が、流され掛けた俺の本能と言うか煩悩と言うか……変なとこにスイッチを入れる前に控えて欲しかったわ。
あと一回くらいならヤっときゃ良かった。いやいや、だからこれがイカンのだ。
オトンとオカンはまだあと数日帰って来ないらしい。別にのんびりすりゃいいけど、数日一人で過ごすんならあっちでも変わらんよな。もう荷物まとめて帰ろっかな。そんでさっさとリョーマの私物を荷造りして発送して、心置きなく次の相手を探すのが得策な気がするわ。
あ〜〜水が美味い。水と米はこっちが圧倒的に美味い。大学に入って一人暮らしして、まず一番にそれを実感したもんだ。水道水が飲めない事も美味い米が高い事ももうとうに慣れたけど……
なんかもう色々と侵食されて『汚れっちまった悲しみに』感が凄い。
その時テーブル上でスマホがブブッと震えた。視線を落とすとこんなタイミングでまたリョーマだ。イヤ〜〜な予感でメッセージを開けてみると。
[哲太ごめん]
[俺やっぱり哲太でないと無理かも]
[会いたい]
─────………はああ??
ふざけんじゃねえ浮気もんがっ……
一体どのツラ下げてそんな事を
「うっわあ!一体どのツラ下げてこんなん送ってくんの元カレ!」
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