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   眉尻を下げ、困ったように笑う『どっちか』は可愛い。俺の事を可愛い可愛い言うが、俺にはお前らの方が十倍百倍可愛い。  そんなのに二人同時に手を出した俺が一番悪い。こいつらが生まれて四半世紀、家族みたいにやって来たのに壊した俺が最も悪い。 「俺ら二人いるとてっちゃん居心地悪そうだから、一人選抜で来ただけ」 「……ジャンケンでか」 「うん……てかさー、元カレとヨリ戻すの?」  戻すか阿呆。どうせアレだ。俺が昼間に素っ気ない返信したからモヤモヤしたんだろうよ。あいつ密かにプライド高いから。  だが俺にだってプライドくらいある。割り切り当初ならいざ知らず、ちゃんと恋人として俺と付き合ってるのに他の男の尻にち◯ち◯突っ込んどいて何を今更。  大体『俺じゃないと無理かも』の『かも』がカンに障る。どこまでも人を小馬鹿にしやがって。 「ヨリなんか」 「ダメだよ」 『どっちか』の指先が俺の頬を撫でる。途端に背筋にびりっと電流みたいなのが走り抜けた。  そんな─────………  そんな捨てられた子犬的な切ない目で俺を見るなあああっっ 「てっちゃんが俺ら以外と付き合うとか許せん」 「ゆっ………!」  ぐいっと引き寄せられ、重なった唇はほんのり甘い。葡萄だ。コイツ巨峰をつまみ食いしたな。そして歯の隙間から入り込んで来た舌はもっと甘い。とろとろの、俺の好きな葡萄味の粘膜に腰がっ……腰が砕けるっ……!  拳で胸を押し返そうとしても敵わない。舌を吸われながらぎゅうぎゅうに締め上げられて呼吸も儘ならない。こんなキスは狡いだろ。必死過ぎて狡いだろ。あっ………!チクビを触るんじゃない。捏ね回すんじゃない。その小さな器官は海綿体とダイレクトに繋がっている。血液を送り込む。 「てっちゃんが勃ったー♡」 「クララが立ったみたいにゆーなどあほう」 「勃っても可愛いサイズだねえ」 「世間並みだわ人並みだわお前らがデカいんだっ」
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