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   何というのかスマートで賢そうな車だが。アレだ、ハイブリッドのスポーツタイプのアレだ。車の名前が出て来ない代わりに出て来た運転手はなんか筋肉モリモリで意外だった。個人的に水色の車には水色の似合いそうなヒトが乗るべきだと思うが、ライフセーバー的なこのヒトはある意味そうなのかも知れない。が。 「哲太!」 「リョーマ……」  え。リョーマっててっちゃんの元カレの名前じゃね?え?え?え?てっちゃん、こーゆー筋肉芸人みたいな感じのヒトと付き合ってたの?ラインのアイコン、めっちゃ爽やかな海をバックにしたワンコか何かだったからもっと爽やか〜な感じのお兄ちゃん想像してたわ。うそん。 「何でこんなとこにいんの」 「哲太の行動パターンくらい解る。土曜の午後に帰って来て、日曜はゆっくりして月曜に備えるって」 「いやまあその通りっつーかソレ普通だし」 「いいから乗って。話がある」  何て言うのか強引な男だな。それに俺の存在は無視か。何だその見せる為にプロテイン大量摂取で育てたみたいな筋肉は。その腕で俺らのてっちゃんに触る気かオイ。  てっちゃんに向かって伸ばして来た手首をガシッと摑まえ力を込めると、漸く俺の事を認識できたらしい。 「………なにオマエ」 「てっちゃんの今カレ〜〜♡」 「はあ!?哲太!なにどーゆー事!」  てっちゃんはじーっとリョーマを睨みつつ俺を制した。そしてキッパリ言った。 「どーもこーもない、そーゆー事だ」 「哲太!俺ら別れて半月も経ってないのにそんなっ……!」 「煩い。半月前に別れたヤツにガタガタ言われたくないしー」 「哲太!俺はっ」  駅前のタクシー乗り場で痴話喧嘩もないなーどーしよっかなーとか考えていたら今度はデカい黒塗りの車が猛スピードでロータリーに入って来た。 「………うわ」
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