ending

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   俺らの町をてっちゃんが出て行って9年と半年。思えば俺らの片思いは長かった。 「どんな家がいい?」 「やっぱマンションだよなー。鉄筋コンクリートでないとてっちゃん声デカいし」 「喧しいっ」  ネット環境さえあればどんな家だろうが仕事は出来るから、場所も間取りも俺らの都合のいいようにしろって笑うてっちゃんは頼もしい。 「でもやっぱ、てっちゃんと離れるの寂しい……」 「心配で寝れない……」 「「やっぱ俺らのどっちかが残って……」」  てっちゃんは「堂々巡りか!」って俺らの頭を叩いた。 「ヒドイ〜〜」 「暴力反対〜〜」 「お前らを離したら周りに迷惑が掛かるから二度とするか」 「でもでもでも〜〜!」 「陸と空はニコイチなの!二人で一つなの!今までもこれからも!」  ─────それは違う。  確かに俺らは離れられないけど、これからは、この先は。 「「てっちゃん入れてサンコイチだよ」」
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