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   ずいずいずいっとにじり寄られ、後ろ手に後ずさる。日焼けした顔面に光を放っているような目が四つ……獣めいた双子の目が怖い。怖いぞオイ。  しかもしかも……いつの間にやら壁際まで追い詰められているじゃあないか。 「まっ……待て待て待て」 「「逃がさないから♡」」 「っっ!」  二人掛かりの壁ドンはその長い腕がまるで鉄格子─────言葉通りそのまんま、俺を捕らえる檻と化した。 「ちっ……近いっ!あっやめっ……スンスンすんなあっ!」 「てっちゃんの髪の毛いい匂い……シャンプーちゃんだねー」 「なんだそれっ……!」 「耳が真っ赤ー。まだお酒残ってるー?」 「素面だっ……!アッ……耳舐めんなあほ……!」 「「てっちゃん大好き……可愛いねえ」」  二面四手な愛撫もステレオの囁きも反則だ。リバーブが、エフェクトが、マジにマジにヤバ過ぎる。禁じ手中の禁じ手だ。腰が砕けてふにゃふにゃになってまた流される……!! 「さっきソラだけちゅーしてたから今度は俺の番ー」 「え〜〜半分こしよ半分こ〜〜」 「ちゅーの半分こはお前とも唇やら舌やら当たるからイヤ」 「てっちゃんおちょぼ口だもんねえ」  顎を取られ甘く優しく重なった唇はリク(右側)の。骨をなぞるようにして首筋を這う唇はソラ(左側)の。  あああ嘘だああ……両脇からホールドされて身動き出来ない。これじゃマグロだ。しかも俺の場合は感じるマグロ。四本の腕の、二十本の指の複雑な動きが脳内から思考を搔き出し空っぽにさせようとする。  あっ……ソコめっちゃ弱い……あ、ソコソコ、すっげーちょうどいい弾力……あー……ホントにマジでちょうどいいわー…………… 「……ってオイ!!いい加減にしろ!!」 「だいじょーぶ、怖くない怖くない」 「阿呆っ!!無理矢理は犯罪だろーがっ!!」  双子の動きがぴたりと止む。
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