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夏目イクは高校2年生。
昨日、1年生の時からずっと好きだった飯塚れい(高2)に勇気を振り絞って告白をしたばかりだった。れいとは同じクラスで隣の席になったことがきっかけで仲良くなった。
2年生になって違うクラスになってしまったことがすごく寂しいと思いと、中学からの親友の菜穂(ナホ)の応援もあり、告白したのだ。
嬉しいことにれいもイクのことが好きで両想いだったことで付き合うことになったのだが...
なぜか2回lineと伝言で2回振られるというなんとも心えぐられることになった。
「菜穂...私はお弁当なんて食べられないよ」
お昼休み。いつものように菜穂と机を向かい合わせにして食べようとするのだが振られたショックでお弁当も喉を通らない。なのに気を抜くと涙が出てきてしまうのだ。
「泣けば?」
菜穂は食べれないというイクを尻目にもぐもぐと自分のお弁当を食べている。
「なんか冷たくないですか?菜穂さん」
お弁当を端に寄せ、机に突っ伏しているイクは顔をあげた。もぐもぐしている菜穂を見ているとお腹が空いてきた気がしてきたイク。
「お母さんがせっかく作ってくれたお弁当を今、食べないでいつ食べるのよ。
お昼休みにきちんと食べるから愛情が伝わるってもんよ!!!」
言ってる意味はよくわからないが、せっかく作ってくれたお弁当には罪もないし、お母さんに悪い。それに...やっぱりお腹も空いてきた。
体を起こし、お弁当を広げる。
「いただきます」
と、手を合わせお弁当を食べ始めたイクは涙を流しながら口に運んでいく。
それを見ていた菜穂は少しほっとして
「なんで振られたのかわからないけど、1日で振るなんて理由があるんじゃないの?飯塚くんがイクの事を好きだったっていうのに正直嘘はなかったと思うんだよね。本人たちは昨日舞い上がってたけど、周りは意外とやっとかよ。って思ってたんだよね。」
先に食べ終わった菜穂は不思議そうに腕を組んだ。1年生の時のイクとれいは本当に仲がよく、誰が見てもお似合いのカップルだった。
昨日告白する時も菜穂は「絶対大丈夫だからさっさとしてこい!!!!」と、背中を押すどころか、足蹴にしたぐらいだ。
まぁ、あそこまで絶対OKな告白を女子からするのもなんだかなぁと思っていた菜穂だが、まぁ、イクが幸せならそれでいいと思っていた。
目の前で 涙を流しながらお弁当を食べているイクを見ていると、やっぱり納得が行かない菜穂。イクはなんだか振られたことを受け入れているが、line
ですでに振ったのに、どこの誰かもわからない女子に伝言なんて頼むだろうか?悩めば悩むほどおかしい。
「ねぇ、イク。理由聞きにいかない?」
口に入っていたお弁当をごくりと飲み込み、目を丸くしたイク。「理由...ねぇ...」と言いながら目を逸らした。
「え?不思議じゃないの??昨日の今日で。しかも伝言まで頼んで、ってか、あの女子誰!?って感じじゃない??」
「う、うん。まぁ、そうなんだけど...」
「...何?何隠してんの??」
話そうか悩んだが、何も話さずにイクはお弁当を食べ続けた。
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