0人が本棚に入れています
本棚に追加
「夏目さん」
イクは呼ばれていることに気づかなかった。なんせ今し方、振られてたばかりである。lineで。
「...夏目さん?」
呼び続ける方も中々振り向いてくれないので困惑している。そこにイクの友達の桜田菜穂が教室に入ってきた。イクの後ろでオロオロしている人を見つけ声をかけた。
「どうしたの?イクに用事?」
声をかけていたその人は驚いて振り向く。イクが気づいてくれないので菜穂に託すことにした。
「あ、あの。飯塚くんからの伝言で...」
そこまで言い終わらないうちにイクが反応した。
「飯塚くんがどうしたの!?」
飯塚くんはイクの(今し方別れた)元カレである。
今にも押し倒しそうな勢いで腕を掴んだイクに対し、怯えながら...
「あ、きょ、今日の待ち合わせは...なしということで...では、伝えました。」
伝えることは伝え、すぐに帰って行ってしまった。
伝えてくれた人の背中を見ながら...「もう、別れましたけどぉ...」と、涙を流すイク。
「え?どゆこと!?昨日付き合ったばっかりじゃん!!!」
と、隣で目を丸くする菜穂がいた。
最初のコメントを投稿しよう!