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舌打ちが誰もいないアーケード街に響いた。
「また、面倒くさい約束を……」
男は、噴き出た汗を腕で丁寧に拭い取った。このままでは、相当な呪縛を抱え込んだまま死んでしまう、と一抹の不安を抱きながら。
ふわふわと天窓から何かが降ってきて男の頭に落ちる。見ればそれはボロボロの短冊だった。
男は静かに笑みを浮かべると、短冊を丁寧に懐へと仕舞い込んでどこかへと歩き始めた。
涙の跡が残る短冊には、震える字でこう書かれていた。
「一人じゃない。ずっとずっと忘れない」
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