6.名前について

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6.名前について

 少し前のつぶやきで文章での資料は置かないとか言っていましたが、いざやり始めると補足しなくてはならない事が多くて、これは物語作りとしてはダメなやつだなぁと思いつつ……。  名前についてなんですが。  中華系のお話は一人に対しての名前が複数描写されることが多いかと思います。うちの尹馨なんかもそうですが、これには一応、理由があります。  古代では『本名』を知らない人に告げるのはタブーでした。  呼ぶのも失礼にあたるので、そのために(あざな)が必要でした。  ですがこの字も、親しくならなければ呼び合うのも失礼に当たったため、三つ目の名前があったりします。それが称号です。号はそこそこ立場のある人、功績を残した際などにつけられます。(役職名が号になることもあります)  いずれも成人後に必要とされたものです。  有名人を例に挙げると、諸葛亮。  『諸葛亮』が本名(ちなみに諸葛が苗字)、『孔明』が字。称号が『臥龍』です。  古代では単姓(一文字苗字)がメジャーだったので、それと名前をくっつけてフルネームで呼ぶのが当たり前でした。近年では複姓(二文字苗字)も増えてきたとは言え、苗字のみで名を呼びあうことはほぼ無いそうです。単姓の種類が多くなく、(王さんとか李さんとか張さんとかが多い)苗字で呼ぶとそこにいる人が全員が振り返ってしまうらしいです。  上の例で言えば劉備。『劉』が苗字で『備』が名前です(玄徳は字)。  私も『一心繚乱』を書き始めるまで、彼の名前がフルネームだとは知りませんでした。(劉備玄徳でフルネームだと思ってた)  これは三国志をアニメで知った影響と、日本読みでしか知らなかったためだと思うんですが…。  これらのルール的なものを取り込んで表現したくて、『一心』でもフルネーム呼び、字と号も取り入れております。名前の読みも敢えて日本読みにさせていません。  尹馨(イン・シン)は『尹』が苗字で、『馨』が名前、字が『虞淵(ユーユァン)』、号が『香霧(シャンウー)』です。  黎華(リー・ファ)も同じです。彼には字もきちんとあり、雨桐(ユートン)と言います。  ルビのところに『・』を入れてあるのでそれで判断して頂けると思っているのですが、混乱してる人も多いんだろうなと思ったので。  あと、親が子に、兄弟が下の子に対して名前を呼ぶときなどは『阿』を名前の前に入れて呼びます。  黎華だと『阿華』です。  月樹(ユエシゥ)などが尹馨の妹である尹沙鈴(イン・シァリン)を呼ぶときなどは『阿鈴』と呼んでいます(二文字の場合は阿+下の漢字の組み合わせです)。少し前だと『小』がメジャーだったようですね。どちらも『小さい可愛い子』という意味合いらしいです。  日本人が書く中華なんだから一つの名前のみでいいじゃん、と思われる方もいるかもしれません。もし混乱させていたら、本当にすみません。  でも、海外の方が日本を舞台にした作品を作る時に、何もリスペクトされていないと、大抵の方は突っ込み入れますよね。『こうじゃない』、『何にも解ってない』と。  私も中国文化に再度触れて、その奥深さに感動したからこそ、自分で出来る限りの表現をしたいと思い取り入れています。頭の固い表現方法になってしまって申し訳ないなと思いつつ、そこはご理解頂ければと思ってます。  補足の補足ですが。  中国は夫婦別姓(または複合姓)なので、結婚しても相手方の姓を名乗ることはありません。  なので、子供は両親の苗字を貰ってそれを名前とすることもあるようです。  例:父が王さんで母が李さんの場合、『王李』と名乗ります。妻もこう名乗ることがあるようです。  豆知識として知って頂ければと思います。  ※私の調べたものが必ずしもすべてが正しいわけではありません。まだまだ模索中、勉強中なので、違和感があってもどうかご容赦くださいね。
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