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(まさか、私のこの行動まで読んでいたのか……!?)
一瞬焦りを覚えるカメリアだったが、すぐさま体制を立て直す。
手にした燭台を構え直すと、扉の向こうから出て来た相手に向かって燭台を振り下ろした。
燭台を振り下ろすカメリアの手に一切の躊躇はない。
しかし、カメリアが振り下ろした燭台は扉の向こうから出てきた相手の手によって阻まれてしまった。
「っ、くそ!」
手をつかまれ、唯一の武器をうしなったカメリアが反射的に放った足蹴りも、まるでカメリアがこうすることがわかっていたかのように簡単に受けとめられてしまった。
次の瞬間、足を払われたカメリアの身体が浮いたかと思うと、気付けばカメリアは荷物を肩に担ぐかのように相手の方に担がれていた。
「くそ、離せ……! 離せと言っているだろう!」
カメリアは暴れるが相手はびくともせず、軽々と荷物を運ぶかのようにカメリアを担いだまま浴室をあとにする。
うつ伏せで担がれているせいで相手の顔を見ることもできず、カメリアは必死で足をばたつかせ、自由な手で背中を叩く。
それでも相手からの反応は何もないまま、カメリアは目を覚ましたベッドの上に放り投げられた。投げられた場所がやわらかなベッドの上だったことは幸いだ。
(このまま逃がしてなるものか……)
そう思い、身体を起こそうとするカメリアに聞き慣れた声が聞こえてきたのは、その時だった。
「いい加減に気付けばどうだ?」
ベッドから身体を起こしかけたカメリアが見上げた先に立っていた青年は、紺色の髪からのぞく青い瞳でどこかあきれたようにカメリアを見下ろしていた。
「どうしてお前がここにいるんだ、セロイス?」
自分を見下ろしてくるセロイスのことをカメリアは知っていた。
セロイスとカメリアはいわば同僚にあたる関係だが、なぜそんなセロイスがここにいるのか。
あまりにも急な展開をカメリアは理解することができず、呆れたような視線を向けてくるセロイスをただ見ることしかできなかった。
セロイスはベッドの端に腰を降ろしてカメリアの方を見ると、額に手を当てながら深くため息をついた。
「まず、その格好をどうにかしろ。目に毒だ……」
セロイスにそう指摘されたカメリアは自分の格好に目を向けた。
カメリアは寝巻きのかわりに大きめのシャツを着ているのだが、先程の乱闘のせいで大きく開いた襟がずれて片方の肩がのぞき、胸元があらわになっている。
「見苦しいものを見せて悪かった」
「いや、見苦しいというわけでは」
セロイスの指摘ももっともだと、カメリアは襟元を整え終えると改めてセロイスにたずねた。
「それで、セロイスがどうしてここにいるんだ? まさかセロイスが私をここに連れてきたのか?」
「違う……いや、違わないか」
妙に歯切れの悪いセロイスの答えにカメリアが問いかける。
「どういうこと……?」
カメリアの問いかけにセロイスは少し間を置くと、戸惑いを残すカメリアを見据えて言った。
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