未来の夏。

　夏が好きな理由はそれだけではない。「夏休み」があることだ。

　大人になったらなくなってしまうけど、学生の時にだけ与えられる宝物のような期間。約一ヶ月半もの間を休めてしまうんだ、なんと素晴らしい。
　宿題もあるし、家にいたくない子やクラスメイトに会えないことを悲しむ子は嫌かもしれないが、私は嫌では無かった。宿題は毎日テキストを教科ごとに1ページ位ずつ進めれば良いだけだし、自由研究はネットで適当に調べたものをそのまま移すだけ。研究したい子はすごく研究するかもしれないけど、研究したいことがない私は、適当に自由な研究するだけで終わりだ。こんなの苦ではない。
　家でゆっくりできる時間がある方が、私には良い。だから、夏休みがある夏が好きなのだ。

　それに、夏には楽しい思い出がある。地元の夏祭りで遊んだこと、紺色の空に浮かぶ大輪の花を家のベランダから見たこと。それから友達と市民プールで遊んだこと、プールで遊んだ後には売店で冷たいアイスを買って食べたこと。
　夏にはダイヤモンドのように、特殊なカットによって美しく多面に削り出されて、綺麗に輝くような思い出が沢山あった。

　その中で私の中で一等綺麗に輝いている思い出は、小学生の頃にお父さんに山に連れて行ってもらって川遊びをしたことだ。