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客観
彼、天野は、寮生活を送る普通の高校二年生であった。
普通というのを具体的ににいえば、少々数学ができないが、英語は得意で、友達とそこそこの青春を謳歌している。
更に、好きな趣味も悩みも人並みに持っていた。
つまり大きな目で見れば、突出したところの無い平均的な青年なのである。
しかし、今回はそうとは行かなかった。
期末テストの時のことである。
英語の以外に、今回は現代文の点数がすこぶるよかったことの因果なのか、数学はそれに反比例したように低かった。
天野は、それに絶望した。
平均の半分以下は赤点である。
充分に条件を満たしてしまった天野は、もちろん夏休みの期間補習に呼び出される結果となった。
補習自体は回数が少なくて全六回の週一・二回ペースだが、最後の補習で一定の点数を取らなければ、二学期の成績に大いに響くのと、放課後の補習が追加される。
天野自身、焦ってはいたものの、なす術もなくあっという間に夏休みに突入してしまった。
しかも、補習も最初のうちは頑張ろうとしていたはずなのに、3回目ともなると、授業より机の落書きの方が気になるようになってしまっていた。
そのまま、再テスト前日になってしまったのはいうまでもない。
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