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もうすぐ、テストであることは理解していたはずなのに、天野はどこか楽観的なところがあった。
一日詰めて勉強すれば、なんとかなる。
そういう考え方だ。
後から、もっと勉強しておけばよかったのにと後悔するくせに、ギリギリまでやりたくないのだ。
テストが始まる8時半まで、あと12時間程度。
学校に行くための時間の余裕を考えると、8時に家を出なくてはならない。
これ即ち、8時がタイムリミットだ。
そのため、勉強で自分の部屋に缶詰状態の天野は焦っていた。
予想以上に内容が理解できない。
テストでもともと悪かった教科の補習すら、聞き流していたため、広い範囲の内容は、すっかり抜けている。
「あれ、こんな範囲やったっけ」
もうすでに、四回はそう思っていた。
更に疲労した頭は、彼の意識を朦朧とさせた。
そして、時計が一時を回った頃、限界を迎えた彼はそのまま眠りにつく。
一応、午前七時にはアラームをかけていたはずだった。
しかし、次に目が覚めたのは、翌日……テスト当日の十時二十二分。
つまり、再テストには大幅に遅れていた。
正確には、七時になった時、予定通りアラームが鳴っていたのだが、僕はそれに対して、「あと5分」と呟き。
明瞭で無い意識をどうにか目覚めさせ、そのリセットボタンを押した。
……それこそが、彼の最大の失態であった。
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