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【 第五話: マジカ、ターゲット! 】
「どちら様ですか?」
「あっ、宅配便です。荷物をお届け致しました」
「分かりました。ちょっと、お待ち下さい」
『ガチャ』
「『佐藤 浩』さんのお宅ですか?」
「はい、そうです……」
「よし! 間違いない! 行くぞ!!」
『ガチャッ、ガシッ!!』
「なっ、何をする!!」
「死にたくなきゃ、大人しくしろ!!」
「な、何だお前たちは!!」
「お前は、こっそり旧型アンドロイドをこの家で修理しているんだろ!!」
「何を言ってるんだ!! 離せ!!」
「暴れるんじゃねぇーっ!! 言うことを聞けば、すぐに解放してやる!!」
すると、物音に気付いたマジカが2階から降りてきた。
『トントントントン……』
「どうしたの? ヒロシ……?」
「マジカ!! こっちに来るな!!」
「えっ!?」
「その女が旧型アンドロイドに違いねぇ!! 取り押さえろ!!」
『ガシッ!!』
「きゃあ!!」
その男たちは、5人がかりで、事前にやつらが持って来ていた金属製の黒い箱状のような入れ物に、マジカを押し込んだ。
『バンッ!!』
「きゃあ!!」
「よし!! 今だ鍵を閉めろ!!」
「やめろーーっ!!」
『ガシャ!』
「よし、その女は閉じ込めたな。旧型アンドロイドは力が強いヤツがいるからな、これに閉じ込めないと、俺たちがやられちまう」
『ガン、ガン、ガン』
「(ここから出してーっ!! ヒロシーーっ!! 助けてーーっ!!)」
「マ、マジカーーっ!! 貴様ら、何の目的でマジカを!!」
「あっはっはっ。お前が旧型アンドロイドを修理しているっていうのをこっちは調査済みなんだよぉ」
「な、何だとーっ!!」
「危険な旧型ポンコツやろうなんて、修理したら、また世間の皆様に危険が及ぶだろ? だから、俺たちがそれを未然に防いでるんだよ。世の中の安心・安全のためだ。あっはっはっはっ」
「マジカが何をしたって言うんだ!! 何も危害を加えるようなことはしてないだろ!!」
「これから『堂尊様』が国会に提出する『アンドロイド規制法』でもう決まっていることなのさ。お前もそれに従うんだな!」
「まだ、その法律は施行されてないだろ!!」
「俺たちは、一刻も早く、世間の皆様に安全をお届けする義務があるんだ」
「さては、お前ら『宗教団体:AAC』の信者だな!!」
「さあ、それはどうかな? おい、この倉庫にある、あのバラバラになった旧型ポンコツやろうも回収しておけ!」
「はい! 分かりやした!」
「や、やめろ!! それは、俺が今修理しているアンドロイドだぞ!!」
「構わん、全部回収しろ!」
「やめろーっ!!」
『ガン、ガン、ガン』
「(ヒロシーーっ!! 助けてーーっ!! こっから出してーーっ!!)」
「ふっふっふっふっ、おてんばな旧型ポンコツやろうだぜ」
「マジカを離せ!!」
「そうはいくか」
「お前たち、マジカをどうするつもりなんだ!!」
「はっはっはっ、知りたいか? この後どうなるか?」
「マジカをどうするつもりだ!!」
「あのおてんばな旧型ポンコツやろうは、この後、箱ごと大型のシュレッダーでズタズタにしてやるのさ。はっはっはっはっ」
「な、何をーーーーっ!!」
「グチャグチャにして、粉々にして、スクラップにしてやるのさ。はっはっはっはっ」
「そうはさせるかぁーーっ!! 離せーーっ!!」
「よし、じゃあ、まずは、そのおてんば旧型ポンコツやろうを、車で運び出せ!」
「はい! 分かりやした!」
『ガン、ガン、ガン』
「(いやーーっ!! ヒロシーーっ!! 助けてーーっ!!)」
「や、やめろーーっ!! マジカを連れて行くなーーっ!!」
『バンッ!』
『ブロロロロ……』
「ふっふっふっふっ、行っちゃったなぁ~、あんたの愛しのポンコツちゃんが」
「貴様ーーっ!!」
「さあ、そいつを柱に括り付けて、俺たちもそろそろずらかるぞ!」
「はい! 分かりやした!」
「そうはさせるかぁーーーーっ!!」
『バンっ!!』
「なっ、き、貴様!! 待て!!」
『タッタッタッタッ……』
「おい! お前ら、そいつを取り押さえろ!!」
『スタッ! シュルルン! ブォォーーッ!』
「あいつ、バイクで逃げましたーーっ!」
「何っ!? あのやろうぉ~、事前にバイクを用意しておいたなぁ~! クソォーーッ!!」
俺はこんな事態を想定していた。
いつでも逃げられるようにバイクを事前に準備しておいたのだ。
俺は、マジカを乗せた黒塗りの車を追った。
マジカは、俺のスマホから居場所はGPSで分かる。
「マジカ、待っていろ! 俺が絶対に助け出してやるからなぁーーっ!!」
『ブルルルル……』
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