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6
気づくと、あたしの前には彼がいた。
愛しい愛しい、あの人が。
「戻すのが手違いだったようじゃ。てへ。そなたはこの世界で幸せになるが良い」
てへ。じゃないでしょ、神様。
でも、今は。
私はあと5分の勝負に負けた。だけど、物語の中の彼女には、5分も10分も関係なく幸せになって欲しい。
これは私の編む物語だ。世間体ばかり気にして、私の納得ゆくラストにしなくてどうするのか。
だから、この物語はこう締めよう。
「ただいま、ですわ」
まだ呆然と私を見つめている彼の胸に、あたしは床を蹴って飛び込んだ。
うん。やはりハッピーエンドが最高である。
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