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再会
俺が転移するとそこはいつもの魔王城の中庭だった。そこにいたのは黒髪黒目の魔族女性だけだった。
「あっ、魔王様。お戻りになりましたか」
「ああ、シル。彼らは?」
「とりあえず適当な部屋にご案内させました」
「じゃあ、そこに行こうか」
シルに案内されて召喚された彼らの元へと向かうと。
「やあ、さっきぶりだね。」
「あっ、さっきの……」
「どうも、魔王様。いろいろとありがとうございます」
片方の高校生グループのリーダーっぽい子だな。
「いや、いいよ」
「それで反対していた彼らは?」
「ん? 別に殺してはいないし何かあったら身を守ってくれる物を渡したから」
「そうでしたか……」
「知り合いがいた?」
「いえ、いませんが気になって……」
「そっか。とりあえず自己紹介をしようか。俺の名前はカオス・クリムゾン、今代の魔王だ。彼女は俺の秘書のシル・クリムゾン」
「どうも、よろしくお願いします」
「同じ名字……」
「ああ、彼女は俺の妻でもあるからね」
「えっ、そうなんですか!?」
ん? 加奈さんから睨まれてるような?
「それで君たちは?」
まずは片方の高校生グループのリーダー。絵に書いたようなイケメンだなぁ。
「俺の名前は北島充です。斉王高校の二年生です」
斉王高校のもう1人の男子。短髪のがたいがいい子。
「俺は遠藤龍之介。充と同じ斉王高校二年だ」
斉王高校の女子たち。
「私は石田香澄です。よろしくお願いします」
「私は黒川忍。よろしく」
「あたしは山本幸だよ」
「僕は鈴木茉莉」
上からロングヘアーの清楚系美少女。
侍のような雰囲気の美少女。
小動物系の美少女。
眼鏡をかけた文系美少女。
もう1つの高校生グループ。見るからにお嬢様だな。
「私は白百合学園二年の吉野綾です。よろしくお願いします」
「わたくしは白百合麻衣ですわ」
「ワタシはキャリー・コルデー! よろしくデス」
上からおっとり系美少女。
お嬢様な美少女。
金髪の海外系の美少女。
「それじゃあ次は私ですね」
次は見た目は普通のおじさん。
「私は宮崎大輔。斉王高校で教師をしていました」
最後はOL美女の加奈さんか。
「最後は私ですね。私の名前は富永加奈です。私たちを連れてきてくださりありがとうございます」
「ああ、それじゃあ……」
「あっ、その前に1ついいですか?」
「なんだい、富永さん?」
「あなたは中村海斗を知っていますか?」
「っ!? なぜその名前を……」
久しく聞いていなかった前世の名前を聞いて少し取り乱してしまった。
「シル、富永さん以外をそれぞれの部屋に案内してくれ」
「魔王様、よろしいのですか?」
シルも様子のおかしい俺が気になっているのか心配そうな顔をしていた。
「ああ、問題ない」
「……分かりました。それでは皆様、これからお泊まりになるお部屋にご案内いたします」
シルが富永さんを除いた転移者たちを連れていってくれたのを確認してから話し始めた。
「何故君がその名前を知っているんだ?」
「カオスさんは中村海斗を知っているんですね」
「……ああ。確かに知っているとも。」
「カオスさんは中村海斗とどんな関係ですか?」
「俺は……」
「私が知っている理由を話すのはそのあとです」
「はぁ、分かった。話すよ。俺には前世の記憶がある。その前世の名前が中村海斗だ」
「っ!? それは本当ですか?」
「ああ」
「やっぱり、カイトだったんですね」
「…………」
「私のことは覚えていませんか?」
「……ちょっと待ってくれ。俺が転生したのは数百年前だから。今から思い出す」
あの頃の記憶は少し曖昧だからな。富永加奈さん。なにか引っかかる。なんだ? 俺に女友達はそんなに多くなかったはずだ。確か幼なじみの名前が……
「……照井加奈」
「っ!? やっぱり……」
「まさか照井加奈か?」
「うん。久しぶり、カイト」
「いや、だが君は富永って。まさか結婚してるのか!?」
「両親が離婚して名字が変わったの」
「そうか……」
「それにしてもカイトったら私のことを忘れるなんて……」
くっ、痛いところをついてくるな……
「すまんが俺は転生してから既に500年以上経っているからな」
「500年、そんなに……」
「……とりあえずまた加奈に会えてよかったよ」
「カイトがいなくなってから大変だったのよ」
「すまん」
「まあ、いいわ。ねぇ、カイトが転生してからのことを教えて」
俺は久しぶりの加奈との再会に喜び彼女に今までのことを語ることにした。
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