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告白
「……それで俺があいつらに召喚されて加奈と再会することになったんだよ」
「いろんなことがあったのね。……それにしてもお嫁さん多すぎじゃない?」
「あっ、いやぁ~。いろいろとあったって言ったろ」
「それは聞いたけど。……私だって」
「…………」
俺は500年の間に前世を見直すことがあった。それで俺が加奈を好きだったことと加奈に好かれているだろうということは分かっていた。
「なぁ、加奈」
「ん? どうしたの?」
「元の世界に戻りたいか?」
「ん~、別にいいかな。戻る理由もないし何よりカイトがこっちにいるから」
「そうか……」
「ねぇ、カイト。私ね、カイトが事故で死んじゃった時、とっても悲しかったんだ。だからもうあなたと離ればなれになるのは嫌なの」
「加奈……」
「……カイト、いいえ、カオス。私はあなたのことを今も愛しています」
「……」
「あなたがカイトだった時から愛していたけどあなたは転生しても変わっていない。だから私もあなたのお嫁さんにしてください!」
「……加奈。俺は……戦争でたくさんの人を殺しているんだぞ?」
そう、俺はゴルドピグ王国との戦争を含めて敵対してきた魔族なども殺してきた。
「それでもあなたは殺しを楽しんではいない。それが私には分かったから」
そうして浮かべた加奈の笑顔は眩しかった。
「加奈。俺も加奈のことを愛していた。でも諦めていた。こんな俺でも愛してくれてありがとう」
そして俺と加奈の影が重なっていった。
「…………」
「……加奈。これから挨拶してほしい人たちがいるんだ」
「あっ、もしかしてカオスのお嫁さんたち?」
「ああ、そろそろ来ると思うんだが……」
「いつの間に呼んだの?」
「さっき、念話でな」
するとドアをノックする音が聞こえてきた。
「魔王様、シルです」
「ああ、入ってくれ」
シルを先頭に俺の嫁たちが部屋に入ってきた。
「さて、シルはさっき挨拶したからレヴィたちも自己紹介してくれ」
「分かったわ、私はレヴィ・クリムゾンよ。一応、水竜よ」
「ベルはベル・クリムゾン。ドワーフ。よろしく」
「あたしはリリ・クリムゾンよ。よろしくね。あっ、種族はサキュバスよ」
「そして、私がシル・クリムゾン。種族は悪魔族です」
「私は富永加奈です。種族は人間です。皆さん、よろしくお願いします」
「うーん、可愛いわねっ!」
「きゃっ!」
やっぱりリリが抱きついたか……
「リリ、いつも言ってるがいきなり抱きつくな。相手がびっくりするだろう」
「あら? ごめんなさいね」
「いえ、大丈夫です」
「それじゃあ、加奈ちゃん。ちょっと私たちとお話しましょうか」
「えっ? あの……」
「彼女たちは大丈夫だからまた後でな」
「……うん。また後でね、カオス」
「あっ、カオス。夕食までには解放するわ」
「分かった。じゃあみんな、加奈を頼んだぞ」
俺は加奈たちを部屋に残して執務室へと向かっていった。
さてと夕食までに溜まっている執務をしないとな……
「よぉ、魔王様。また増やしたんだってな」
「うん? ああ、グレンか。もう聞いていたのか」
「みんな、魔王様の話題が好きだからな。がっはっはっ!」
「噂話が好きなだけだろう」
俺に声を掛けてきたのは四天王の1人である人化した火竜のグレンだった。
「それで、いつ決着をつけるんだ?」
「ゴルドピグ王国のことか……」
「ああ、そろそろ暴れたくてな」
「いつも誰かと模擬戦をやってるじゃないか……」
「模擬戦と実戦はちげーだろ」
「見た感じお前たちが楽しめるようなのはいなかったな」
「なんだ、じゃあいいわ」
「そんなに暴れたいなら北の魔物たちを討伐してきてくれ」
「おっ! いいのか!」
「許可するから行ってきていいぞ」
「おう、じゃあ早速行ってくるわ!」
転移していったか……
まあ、北の魔物たちは強いから時々間引きしないといけないからな。ちょうどいいだろ。
「さてとゴルドピグはどうするか……」
今すぐ滅ぼすことも出来るが……
やはりもう一度降伏勧告をしてみるか。
さてとそうするならば国際会議を再び行う方がいいな。今回のことも報告しておいたほうがいいだろうからな。
「セバス、各国に明日再び国際会議を行うように連絡しておいてくれ」
「分かりました」
「それから……」
俺は夕食までの間、溜まっていた執務を片付けていた。
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