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地球組の実力と国際会議
次の日、俺は執務室にいた。
「魔王様、よろしいですか?」
「ん? ミリアナか。今日の授業は終わったのか?」
「はい。皆さま真剣に聞いてくださって助かりますわ」
「四天王のミリアナに教えてもらえるなんて贅沢だな」
「魔王様、わたくしが四天王の一員だということを伝えていませんでしたね。皆さま、驚いておりましたわ」
「少しびっくりさせたかったんだよ。みんな緊張してただろうしな」
「まあ、いいですわ……」
「それで彼らの魔法の才能はどうだった?」
「……皆さま、高い才能をお持ちでしたが特に石田様、鈴木様、白百合様、富永様はとても才能がありましたわ」
「そうか」
「皆さま、才能のある魔法は別でしたが」
「そうだろうな」
「石田様は聖魔法、鈴木様は闇魔法、白百合様は四属性魔法、富永様は全部ですわ」
「白百合さんは四属性か。珍しいな。加奈は……全部?」
全部だと?
「信じられないでしょうが本当ですわ」
「凄いな……」
「ええ、彼女の才能はとてつもないものでしたわ」
「さすが加奈だな……」
「うふふ」
「なんだよ?」
「そういえば彼女が魔王様の新しいお嫁さんでしたね」
「悪いか?」
「いえいえ、とても嬉しそうにされていたので……」
「と、ところで他になにかないのか?」
「そうですわね……」
その後、執務を続けていると扉をノックする音が聞こえてきた。
「誰だ」
「大将、十兵衛です」
「入れ」
「失礼します」
部屋に入ってきたのは四天王の十兵衛だった。
「お前が来たということは訓練は終わったのか」
「無事初日の訓練は終わりました」
「で、どうだった?」
「男性陣は悪くない動きでしたね。女性陣は鈴木ちゃんが少し苦手かなというところですね」
「ふむ」
「女性陣の中では黒川ちゃんが最も動きがいいです」
「男性陣は?」
「遠藤さんですね」
「なるほどな」
「いやぁ、彼は磨けばまだまだ光りますよ」
「それほどか」
「ええ」
「あっ、そうだ。あれは渡してくれたか?」
「アンケートなら渡しましたよ」
「そうか。彼らがこれからどのように過ごしていくのかは把握しておかないといけないからな」
「そうですね。それじゃあ、ぼくはこれで」
「ああ」
加奈は基本的に俺と一緒に居たいって言っていたが他の人たちはどうするのだろうな。
そろそろ国際会議の時間か。
「セバス、繋いでくれ」
「分かりました」
セバスが魔道具を起動させる。すると円卓に並べられていた鏡型の魔道具に各国の王たちが写っていく。
「おお、魔王殿」
「急のお呼びだしになってしまってすまないな」
「いえいえ、なにかあったのですか?」
「そうだぜ、魔王。何があった?」
「ゴルドピグ王国が旧式の召喚魔法を使用した」
「「「「「っ!?」」」」」
各国の王たちも驚くか。
「……それは本当ですかな?」
「本当だ、聖王よ」
「おいおい、あいつらは禁忌を犯したってことか……」
「……何故魔王殿はそれをご存じで?」
「俺もあいつらの召喚に巻き込まれたからな」
「なんと……」
「確か魔王殿は転生者でしたのでそれでか? それとも他の要因が……」
「マジク王よ、考察は後にしてくれないか?」
「おっと、すみませんね」
「続けるぞ。そこで召喚者の一部を保護した」
「一部?」
「ああ、残りの召喚者は明らかにこちらの話を聞かずに敵対を選ぼうとしていたからな」
「それは少し可愛そうでは?」
「一応、国境付近に転移できる魔道具を渡したからな」
「ああ、例のやつですか」
「そうだ」
「それにしてもやつらはそこまで……」
「魔王殿はどうなさるおつもりで?」
「俺はもう一度だけ降伏勧告を行う予定だ」
「……分かりました。降伏勧告に従わなかった場合の話ですね」
「強そうなやつはいたか?」
「……今聞くことですか? 獣王殿?」
「いや、雑魚ばかりだったぞ」
「まあ、魔王殿や獣王殿にしてみればそうでしょうね」
「まあ、いい。それでどう対処しようかと思ってな」
「そうですな……やはり普通に各国で囲んで侵攻していくのが一番では?」
「ああ、その件で1つ報告があるのだが……」
「なんだ? エルフリーク王よ」
「我が国に多数の亡命者が来ているのだが他の国ではどうだ?」
亡命者か……多少来ていると言っていたな。
「聖王国にも亡命者が来ていると報告に上がっていますね」
「魔王国にも多少来ている」
「となるとやはり1つずつ都市に対して降伏勧告を行いながら攻めていくのが一番でしょうな」
「それでは降伏勧告の返事が来たらまた連絡する」
「それでは会議は終了ですな」
「ちょっと待ってもらっていいか?」
「どうした、獣王?」
「魔王、異世界人どもの実力はどうなんだ?」
「それは私も興味がありますな」
「マジク王もか。そうだな魔法が得意な者もいれば武術が得意な者もいるな」
「強くなりそうか?」
「……ああ。強くなるだろうな」
「へぇ、そいつは楽しみだ」
獣王はいつも戦闘バカばかりだな。
「……それと魔王殿。魔力が必要なのではないですか?」
「そうだな。彼らの家族を召喚するのに相当必要だな」
「それでは我々も魔石を送りましょう」
「勧誘したいのか?」
「そうですね」
「分かった。それじゃあ、ゴルドピグ王国のことがすんだら各国からの勧誘を許そう。だが強引な勧誘はするなよ」
「ええ、ええ。分かっていますとも」
「それではこれで本当に会議は終わりですな」
「ああ」
「それではこれにて終了」
ふぅ、少し疲れたな。
「魔王様、飲み物です」
「すまんな、セバス。それでは今の通り各所に連絡を頼む」
「はい、分かりました」
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