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最初の召喚
最初の召喚当日。
「さて準備が出来ました、魔王様」
「すまんな、ミリアナ。山本さん魔法陣の中に入ってくれ」
「はい」
緊張しているな。まあ仕方ないか。
「大丈夫だ。成功するさ」
「はい」
「それじゃあ、山本さん。妹さんのことを思い浮かべて」
山本さんが召喚したいのは唯一の家族である妹さんだからな。早く召喚してあげないとな。
「それでは始めますよ」
「ミリアナ、頼む」
ミリアナが魔法陣を起動させるとあたりが光に包まれていく。
光がおさまるとそこは何もない空間だった。そこには俺も含めて3人がいた。
「山本さん、彼女か?」
「あっ! はい! 樹!」
「へ? お姉ちゃん!?」
「樹~!」
「お姉ちゃん!」
感極まって2人とも走って抱きついたか。
「うぅ、お姉ちゃんどこに行ってたの? あと、ここどこ?」
「えっと、えっと……」
「ここからは俺が説明しよう」
「えっ? あなたは誰ですか?」
「俺の名前はカオス・クリムゾンだ」
「カオス・クリムゾンさん?」
「ああ。それじゃあ説明するが君のお姉さんは異世界に召喚されていたんだ」
「異世界? 冗談は止めてください!」
「冗談じゃないんだよ」
「お姉ちゃん?」
「まあ、信用出来ないだろうがこれを見てくれ」
さて、変身してみるか。あとは精霊でも召喚してみるか。
「ふん! さらにイフリート!」
「いきなり姿が変わった!? それに火のドラゴン?」
あっ、フリーズした。少し待つか。
「すみません。真実なんですね」
「ああ、信じてもらえてよかったよ。それでこちらからも聞きたいことがあるんだが……」
「なんでしょうか?」
「君のお姉さんが行方不明になってからどれくらいたった?」
「えっ? 1日です」
「やっぱりか。時間の流れが違うな」
「そうなんですか?」
「こっちでは2日たってるからな。さて、それで君はこっちの世界に来るかい? それとも元の世界で生きるかい?」
「お姉ちゃんたちの世界に行きます!」
「樹……」
「そうか。分かった。それじゃあ、早速飛ぶぞ」
「「はい!」」
帰還用の魔法を発動して……よしっ! これでいいな。
「成功しました!」
ミリアナの声か。戻れたみたいだな。
「へぇ~、ここが異世界ですか」
「樹ちゃん、久しぶり!」
「あっ、香澄さんお久しぶりです。それに皆さんも」
「おう、こっちに来れたんだな。樹ちゃん」
「…………」
おや? 遠藤くんは無視か?
「樹、龍くんも心配してくれてたんだよ!」
「お姉ちゃん……お久しぶりです、遠藤さん」
「あっ、ああ」
遠藤くん、ちょっと落ち込んでるな。樹ちゃんとなにかあったのかな?
「龍くん、ごめんね」
「むぅ~」
樹ちゃん、むくれてるな。もしかして幸ちゃんと遠藤くんの仲に嫉妬してるのかな? お姉ちゃんっ子っぽいし。
「魔王様、次の召喚準備が出来ました」
「むっ、そうか。宮崎さん、魔法陣の中に入ってくれ」
「はい、分かりました」
「それじゃあ始めます」
再び光に包まれていく。
2度目だが慣れるものじゃないな。
「楓! 桜!」
「あなた!? あなたなの!?」
「お父しゃん!」
どうやらうまくいったみたいだな。
「あなた、どこに行ってたの? それにここは?」
「ここ、ちょっとこわい……」
「桜、大丈夫だ。カオスさん、お願いします」
おっ、出番か。
「はじめまして、カオス・クリムゾンと申します」
「はぁ、カオスさんですか……」
「あなたの旦那さんの現状について説明させていただきます」
「はい……」
「……ということです」
「……本当なんですか?」
「まだ真実とは思えないようですね。ではこれを見てください。ふん!」
俺は先ほどと同じように変身して精霊を召喚する。
「えっ?」
「おじしゃん、しゅごーい!」
「これでなんとなく真実だと分かったと思います」
「はっ、はい……」
「それでは改めて聞きます。楓さん、大輔さんと一緒に来ますか?」
「……もう戻れないかもしれないのですよね?」
「ええ、まだ戻る魔法は開発されていないので……」
「私たちは彼と共に行きます。桜をお父さんと離ればなれにはしたくありませんし……」
「分かりました。それでは行きましょう」
再び魔法を発動してと……
「あっ、戻ってきましたね」
「たくしゃんの人がいる!」
「お疲れ様です、魔王様」
「ああ、さすがに疲れたな」
楓さんはさすがに驚いてるな。
「可愛い!」
「可愛らしい子ね」
「お名前は何て言うの?」
「宮崎桜です!」
桜ちゃんは……可愛がられてるな
「さてと、みんな今日の召喚はこれで終了させてもらう」
「はい、魔王様。ありがとうございます」
「次回はいつデスか?」
「そうだな……魔力の回復具合からすると……」
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