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戦争
次の日のうちに俺たちは出陣し数日で国境付近に到着した。
さらに数日のうちに最初の都市に着くことができた。
「ふむ、妙に兵が少ないな」
「魔王様、あちらの使者が参りました」
「使者だと? 今さらか?」
怪しいな。だがここで受けないというのもな。
「通せ」
「よろしいので?」
「かまわん、十兵衛後ろに控えておけ」
「はい、大将」
「魔王様、使者の方を連れてきました」
「通せ」
女性? 服装は普通だが見た感じ上級貴族だな。
「我が名はカオス・クリムゾン、今代の魔王だ」
「魔王陛下、私はマリー・フト・ゴルドピグと申します」
ゴルドピグ!? 王族? 本物か? 兵たちが慌てているな。
「落ち着け。ゴルドピグだと? ふむ、貴殿が王族だという証拠は?」
「こちらを」
これは……ゴルドピグ王国に伝わるという聖遺物か。
「こちらは我が国に伝わる聖盾と聖杖です」
「その魔力はおそらく本物だろう。貴殿が中央でそれなりの地位にいたことは分かった。それで用件は?」
「私を含めてこの都市は魔王陛下に降伏いたします」
「今さら降伏だと? 我らは何度も使者を送ったがいい返事はなかったはずだが……」
「信用出来ないのは分かります。ですのでこれらの聖遺物を魔王陛下に献上いたします」
「ほぅ、分かった。ミリアナ、どうだ?」
「反応はありませんわ」
「そうか。詳しい話を聞こうか」
「ありがとうございます」
なるほど。やはりゴルドピグ王国の内部にも戦争に反対している連中がいたか。その中心人物が第二王女であるマリー王女か。で、反対していたことから軟禁されていたところを反対派の力を借りて脱出したと。
「分かった、我々は降伏を受け入れよう」
「あっ、ありがとうございます!」
さてと聞いた話だと聖遺物は再び3つだったはずだが……
「聖遺物はこの2つだけか?」
「いえ、実は聖剣が1つあったのですが……」
「ああ、そういえば聖剣使いの異世界人が1人いたな」
「はい、その異世界人が聖剣を常に持っていたため持ち出すことが出来ませんでした」
「分かった。では残りの話は都市に入ってからにしよう」
都市の領主館の一室に案内された俺たちは反対派の中心人物たちとの会談を行っていた。
「公爵殿、それでは中央に近い都市以外はほとんどが降伏すると?」
「おそらくは。戦争に反対していた者たちは大体国境付近に飛ばされたので……」
「バカだな」
「ええ、中央の者たちはバカばかりです」
この公爵、辛辣だな。
「それで我々連合軍としては軍の動きと異世界人たちの情報が欲しい」
「分かりました。軍に関しては簡単です中央にほとんどの軍を集めています」
「それは相手にするのは少し大変だな」
「異世界人たちは勇者として持て囃されておりました。一応訓練もしておりましたが……」
「戦争に消極的な異世界人はいなかったのか?」
「ええ、残っていた者たちは積極的に戦争に参加しようとしておりましたな」
「…………」
「ああ、そういえば一部の異世界人たちは加奈という異世界人を気にしていましたな」
「ああ、あいつらか。それで実力としては?」
「……相当高かったですぞ、我が国の中では。我が国の将軍レベルはあったかと」
「そうか。それがさらにレベルアップしている可能性もあると」
「左様ですな」
「……十兵衛、一般兵士たちには異世界人とは1人で戦うなと言い聞かせておけ」
「はっ」
「異世界人とは魔王軍では俺と四天王、それに大将クラスの者たちでやる」
「魔王陛下が直接戦う必要はないのでは……」
「こちらにも事情があってな。それに獣王も自分で戦おうとするだろうな」
あいつのことだからな。
「さてともう少し情報をまとめていこうか」
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