決戦

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決戦

 それから大した抵抗もなく俺たち連合軍は王都へとたどり着いた。  今回の連合軍は魔王国、獣王国、エルフの国、アマテ聖王国、マジク魔術国からなっている。今回の行軍に参加している各国の責任者は魔王国からは俺こと魔王、獣王国からは獣王、エルフの国からは王太子、アマテ聖王国からは剣聖、マジク魔術国からは賢者がなっていた。 「みな、集まったな」 「ええ、連合軍は全て集合しましたよ」 「道中つまらなかったから早かったしな」  ふっ、確かに戦闘狂からしたらつまらん戦争だっただろうな。 「多少は楽しめる連中がいるかもしれんぞ」 「異世界人どものことだろ? 魔王や剣聖とかに比べたら微妙だろ?」 「それは仕方ないだろう。年数が違うからな」 「ええ、そうやすやすと強くなられても困ります」 「「「…………」」」  歴代最年少の剣聖に言われてもな。確かまだ十代だったはずだろ、お前。 「まぁそれはいいとして、先ほど再び降伏勧告を行ったがいい返事は帰ってこなかった」 「ふむ、何か奥の手があるのかのぉ」 「賢者殿の言うとおり何かあるのかもしれませんね」 「ふん、そんなものまとめて潰せばよかろう」 「そうはいうがのぅ。エリク王子よ、こちらとしては被害が少ない方が良いじゃろう」 「俺や魔王が行けば楽だろう」 「大将が行くのはのぅ」 「異世界人には俺たちが当たろう」 「魔王殿よろしいのか?」 「ああ、その隙に獣王たちには本丸に攻めてもらいたい」 「つまらんな」 「ただとは言わんさ、獣王。この戦争が終わったら一度戦おうではないか」 「マジか! それなら俺たちに任せろ!」 「ならば決定だな。それでは出陣だ!」  今のところはこちらが優勢か。しかし異世界人たちが出てこんな。 「魔王様、異世界人が現れたとのことです」 「そうか。では本陣は十兵衛に任せる」 「はい、大将任せてください」 「では、いくぞ!」 「「「「「はっ!」」」」」  本陣から出ていった俺たちの目の前には先ほどまでおしていたはずの連合軍がおされている光景だった。 「魔王様たちが来たぞ!」 「お前たちは周りの敵を相手していろ」 「はっ! 分かりました」  人数は……あの時と変わらないな。全員いるみたいだな。 「貴様はあの時の! 加奈を返せ!」 「「「「そうだ! そうだ!」」」」  まだ勘違いしてるみたいだな。 「あそこのうるさいのは俺がやる。残りはお前たちで頼む」 「分かりました、魔王様」  さてとここで終わらせておくか。 「お前たちには見せておくべきものがある。ほれっ」  俺があいつらの前に魔道具を投げるとそこから立体的な加奈の映像が出てきて流れ始めた。 『えっと、これに向かって話せばいいのかな?』 「加奈!」 「黙って聞け」 『小田切さん、泉さん、米澤さん、榊さん、宮村さん。私は今まで上司などの目があり言えていなかったことがあるのでここで言わせてもらいます。今まで何度もあなたたちに付きまとわれて気持ち悪かったです。私にはあなたたちの気持ちに答える気はありません。それではさようなら』  その言葉を最後に映像は途切れた。 「……嘘だ~! 加奈はいつも俺に微笑んでくれていたんだ! お前が無理やり言わせたんだろ!」 「加奈さんはそんな事言うはずないだろ!」  ゴタゴタとうるさいな。 「お前たちはフラれたんだ。おとなしく諦めろ」 「こうなったらやつを倒して取り戻すぞ!」 「……はぁ~」 面倒だが相手をしてやるか。 「くらえぇ!」  俺は聖剣持ちの単純な攻撃を避けていく。 「おりゃりゃりゃりゃ~!」 「ファイアボール!」 「三連射!」  その他の連中の威力だけは少しある攻撃も防いでいく。 「隙あり!」 「…………」  短剣使いのバレバレすぎる不意打ちを避ける。 「はっはっはっ! 反撃出来ないみたいだな! いくぞ! 聖剣解放!」 「……聖剣が可哀想なくらいの力しか出ていないな」 「くらえぇぇぇ!」 「底が分かった。もう終わらせるか」  俺は聖剣の一撃を素手で受け止める。 「なにぃぃぃ!」 「これで終わりだ。ふん!」  そのまま聖剣を奪い取りやつの頭をつかんで顔面を殴り付ける。 「小田切っ!」 「終わりだ」 「なにっ!?」  残った連中も同じように気絶させていく。流れ作業みたいだな。 「待たせたな」  俺は周りで既に異世界人たちを捕らえていた部下たちを見渡した。 「いえ。誰か! そこの連中も縛り上げろ!」 「さて獣王たちはうまくいったかな?」  結果から言うとうまくいった。獣王たちが王城へと突入したのだが新たな禁術を発動しようとしていた王族たちを発見した。そのまま捕縛したのだがその禁術が危ないものであった。王都にいた一般市民の命を使って邪神を召喚しようとしていたのだ。なんとか事前に防ぐことが出来てよかった。  戦後、ゴルドピグ王国についた異世界人たちは戦争奴隷になり魔王国から遠く離れた国に連れていかれた。第二王女とその弟妹たちと母親を除いた王族は全員揃って悪事をいろいろと働いていたので処刑された。  ゴルドピグ王国は名をアンスと変え、現在は連合軍の自治領となっている。将来的に第二王女の弟が成人すると同時に独立する予定だ。それまでは公爵がトップとして国を運営していく。  そして数ヶ月がたち、落ち着いた頃……
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