5分後の私は

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11月14日 23時57分。 「あと3分だね……」 西尾君が緊張しているのが分かる。ズボンのポケットをくしゃくしゃと触る。 「莉子ちゃん、しりとりでもしよっか?」 「うん。いいよ……」 西尾君はしりとりとじゃんけんが好きだ。理由は、トランプやゲーム機と違って、なんの道具もいらないし、どこでも出来るからだという。 「しりとりの『り』で、僕から始めるね」 「リンゴ」 「ごぼう」 「ウサギ」 「ぎょうざ」 「ザッハトルテ」 「てんぷら」 「ライオン」 「何してるの~ んがついちゃったじゃん……西尾君の負けね~」 しりとりをしてても西尾君の魅力が私には伝わる。どこが魅力なのかってのは他の人に分からないだろう。私はその魅力を他の人には教えてあげない。
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