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「もう……こんな時間に、なに…」
女の部屋を出て、真っ直ぐにここへ来た。
カズは眉間に皺を寄せながらドアを開け、迷惑そうな声でそう言った。
予想通りの表情に笑いが出る。
「何?酔っ払ってんの?」
俺の顔を覗き込んでますます表情が曇っていく。
「ま、ね。ちょっと。寒いから、入れてよ。」
「…ったく…」
俺がこうして突然訪ねたとしても、嫌がる女はまずいない。
さっきの女も笑顔で俺を迎え入れた。
カズくらいだ。こんなに露骨にうっとおしがるのは。
付き合いが始まってから一年になろうとしている。
俺は四年程前に離婚し、元嫁、弥生に子供を1人託して独身に戻った。
息子、亮太のことを思うとやりきれないが、
冷めた夫婦で居続けることはお互いのためにも、
そしてなにより、亮太のために良くないと思って別れを決めた。
結婚は、
思ったほど自分には向いていない。
それを実感させられただけの日々だった。
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