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近年の天気予報は外れることが少なくなったと聞くが、この時期の天気は予報通りにならないことがままある。
週明けから降ったり止んだりを繰り返し緩みかけていた気温も、週末にはまた冬に戻ったかのような冷たい雨を降らせた。
明日からの撮影の為に今日から現地に入っていたカズは、デッキの軒先の椅子に腰かけ海を眺めていた。
「あれ!?コウタも前乗りだっけ?」
俺の姿を見るなり驚いた顔で尋ねる。
「今日の予定、早めに終わったし…ロケハンしようと思って、ね。」
「そうなんだ。」
「明日、止むかな。雨。」
「どうだろ。」
「あら。晴れ女、って誰の事言ってたんでしたっけ?」
「うん…今頑張って祈願してるとこ。ああ…ちょっと寒くなってきたね。中入ろう。」
撮影用に借りたバンガローは一棟貸しの別荘で、南仏風に作られたコンドミニアムだ。
カズはドアを開け俺を誘い入れる。室内は広く、シンプルだが洗練されたインテリアで整えられていた。テラス側の窓からは目の前の海がパノラマで飛び込んでくる。
その眺めを一望できるリビングのソファに腰掛けるよう俺に言い、自分はキッチンのカウンター向こうに回り込む。
冷蔵庫をパタパタ開け閉めしている様子はまるで住み慣れた自分の部屋にいるかのようだ。
「へえ…いいね。こんなとこにこんなのあったんだ。」
「天気がいい時の眺めも最高だよ。朝から晩までずっとそこに座って見てられる。勿論、雨の海もいいけどね。」
カウンターの向こうから顔だけ覗かせて笑っている。
「よく来るのか?」
「ここはもう何度も利用してる。オフシーズンに何日か滞在したこともあるんだ。」
何度も、と言うがいつ頃からだろう。付き合っていた頃、このあたりの海が好きでよく来ると聞いたことがある。が、当時俺は一度も誘われたことがない。
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