prologue

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お手軽な、失敗のない女を選んでする恋愛に慣れきっていた。 いや、「恋愛」なんていうのもおこがましい。 離婚をして以降、更に手軽な関係を好んだ。 お互いの求めるところが一致すればそれでいい。 そこに思いなんてものは必要ない。逆にあってはかえって面倒だ、と。 だが、女という生き物は厄介で、共に過ごす時間が増えるにつれ、それだけでは満足できなくなるらしい。 更に、更にと欲求は膨らむ。結果、 身体だけでなく「心」を欲しがる。 だから、関係が続くうちに相手がちらりとでもそれを望んでくるような態度を見せたとしても 一切無視し続けた。 冗談にでも期待させるようなことをしようものなら、そこに喰らいついていつまでも放さない。 逆にまったく知らん顔で過ぎれば、驚くほどの引き際の良さで俺の元を去っていく。 そして、何事も無かったかのような顔で、次の獲物を探しに行くのだ。 そうできる女かどうか、 最初の見極めが肝心だ。 情の薄い、自分本位な女。 ことのほか上手く選べるようになってしまっている。 だから、ミキとはどう考えても「間違い」だ。 情に厚く、自分を差し置いても「俺」を優先する。 そのことが明らかだったにもかかわらず関係した。 ミキの望みを全て無視し続けたとしても、きっと追い続けてくるはずだ。
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