prologue

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カズはそのどちらでもない。 打算で近付く女でも、必要以上に俺を高評価する女でも。 なのにその身体は、期待など一切ないくせに無防備に俺を受け入れ、 挙句、これまで関わったどの女よりも深い喜びを感じている。 でもそこに「俺」を存在させない。 いっそ、嫌がられることにでもなればよほど気が楽だ。 女に求められることが当たり前、稀に拒絶されるようなことがあったとしても、 「求められているのに必要とされてない」なんておかしな状況などありえない。 そんな屈辱を味わわせてくれた女は 後にも先にも、 カズだけだ。 だから嵌った。 落ちないわけにはいかなかった。 攻略できないゲームに挑むかのように。
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