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それからというもの、俺はカズを傷つけ続けてきた。
ここまでくるともう立派なサディストだ。
なんというエゴ。
それは愛とは言えない。
自分でもわかってはいる。
それでも、俺はカズが欲しい。
心がそう叫び続けている。
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ついさっき抱いた女の匂いに気が付いたカズは
哀しみに瞳を潤ませて俺を見ている。
なのに、言葉では決して責めない。何も咎めない。
俺が導くままに再び身を委ねる。
でもそれはさっきまでの身体とは違い、
俺をちゃんと感じて答える。
カズはその身体で俺を咎める。
責める。
叫ぶ。
そこにはちゃんとカズの心を感じる。
「コウタ…」
俺を呼ぶ声。泣いているのか、震えている。
吐息と、喘ぐ声。
全部、俺のものだ。
すっかり温まったその指も、湿った唇も、纏わりつくその髪も、
全部。
痛みで覚醒する心。
カズはきっとそんな自分に気付いてはいない。
呆れるほど自分にも疎い。
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