prologue

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それからというもの、俺はカズを傷つけ続けてきた。 ここまでくるともう立派なサディストだ。 なんというエゴ。 それは愛とは言えない。 自分でもわかってはいる。 それでも、俺はカズが欲しい。 心がそう叫び続けている。 ------------------------------------------- ついさっき抱いた女の匂いに気が付いたカズは 哀しみに瞳を潤ませて俺を見ている。 なのに、言葉では決して責めない。何も咎めない。 俺が導くままに再び身を委ねる。 でもそれはさっきまでの身体とは違い、 俺をちゃんと感じて答える。 カズはその身体で俺を咎める。 責める。 叫ぶ。 そこにはちゃんとカズの心を感じる。 「コウタ…」 俺を呼ぶ声。泣いているのか、震えている。 吐息と、喘ぐ声。 全部、俺のものだ。 すっかり温まったその指も、湿った唇も、纏わりつくその髪も、 全部。 痛みで覚醒する心。 カズはきっとそんな自分に気付いてはいない。 呆れるほど自分にも疎い。
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