prologue

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あんなに仕事が好きで、 あんなに意欲に燃えていたカズは どこへ行ってしまったのか。 オヤジのように酒を飲み、 オヤジのように熱く語るカズはもういない。 今、俺の目の前に居るのは、 俺に心を委ね、緩やかな時間に身を置き まるで気の抜けた、ぬるいビールのようになってしまったカズ。 そんな女にしてしまったのは 俺だ。 間違いなく、俺。 愚かで、 浅はかで、 我が儘で、 勝手な 俺の歪んだ愛のせい。 もう、手遅れなのか。 それとも まだ、間に合うのだろうか。 もし間に合うというのなら、 俺はどうすればいい? 大切なものを取り戻すために、 何をすればいい? 答えを。
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