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「そういえば…猫。飼ってるの?」
思い出したかのようにカズは言って、俺の顔を覗き込んだ。
忘れていた。ヴィーナスがあの写真に写り込んでいたことを。
「ああ…うん。事務所の近くに動物病院があってさ…そこで里親募集って貼紙みて。」
あの日、あの目で見つめられて足を止め、今では家族となってあの家で俺の帰りを待っている一匹の猫。
今俺を見ているカズの目とその目が重なって見えた。
「衝動的にもらってきたのはいいんだけど…勝手ばかりしてまったく言うこと聞きやしねえ。そのくせヘンなタイミングでみゃーみゃー纏わり着いてきやがるし。」
そんなところも似てるんだよな。
「猫って、何考えてるかわかんないよね。」
カズが笑いながら言う。
「ああ。まるで、おまえみたいだ。」
本当に、カズ。ヴィーナスはまるでおまえのようだ。
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