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カズと付き合っていた3年間、その後、距離を置く、なんて都合のいい言葉で別れてから4年が過ぎようとしている。 なぜだろう。その7年間のどの時より、今が一番自然にカズと向き合えている気がした。 カズが自然な笑顔で笑っていて、なんの力みもなく言葉を交わし、穏やかに時間が過ぎている。 途中、黙ったままで長い時間海を眺め、またどちらからともなく話し出す。 穏やかで緩やかな心地よい時間。 これまでに感じたことのない満ち足りた気分だった。 こんなふうに一緒に時を過ごしながらこの先の人生をカズと生きて行けたらどんなにいいだろう。 でもカズをこんなにも穏やかで緩やかな気持ちにさせているのはきっとレイだ。レイの、カズへの揺るぎない想いがカズの心を解放しニュートラルにしている。 俺には一度たりともできなかった。 俺のカズへの想いにその効力はなかったということだ。 どのくらい時間が経過しただろう。 いつの間にか雨は止み、うっすらと陽が差しかけたかと思えば、空は薄いオレンジのヴェールを降ろし静かに闇を連れてくる。 カズは立ち上がり窓辺に歩み寄ると静かに窓を開け俺を振り返った。 「ほらみて。この空の色。明日、晴れるんじゃない?」 「うん。だな。」 この笑顔を、ずっと見ていたい。
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