prologue

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そもそも、付き合いが始まった頃、俺は俗に言う「二股」をかけていた。 意図してそうしていたわけじゃなく、それなりの理由があった。 言い訳に過ぎないことは重々承知だ。 ミキとは、カズとの関係が始まる少し前に成り行きで身体の関係を持った。 そのキッカケを作ったのは間違いなく俺の気持ちの弱さだ。 カズのことを本気で欲しいと思い始めたとき、初めてミキとの関係を後悔した。 なぜなら、二人は親友だったからだ。 ミキも、学生時代からの仲間の1人。 卒業後、カズとは勤め先が一緒だったことでその後も親しくしていたのを知っていた。 でも、 まさかカズに本気になるなんて、 自分でも予想していなかっただけにこの時点でうろたえたのは事実だ。 ミキから想われていることは学生時代から感じていた。 でも、俺は気が付かないフリでその時期をやり過ごした。 追ってくる女は嫌いだ。 その想いが本気であればあるほど逃れたくなる。 なのに、始まりは本当に成り行きだった。 時間を巻き戻せるなら、 そこへ戻ってそのすべてを消し去ってしまいたいほどだ。
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