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終始物乞いする様な目つきのその女は、 俺に抱かれている間中、執拗に自分をアピールする。 私ほどの女はそうはいない、と。 言葉ではなく身体で訴え続ける。 何が欲しいんだ? 俺に、どうしろっていうんだ? もう何度こんな思いをしてきただろう。 いい加減、このテの女たちにはもううんざりだ。 付き合うさ。 その快楽だけが望みなら。 でも本当に欲しがるものは渡せない。 なぜなら、 その思いがそれと引き換えにできるほどのホンモノじゃないからだ。 女はモデル。数ヶ月前、仕事でカメラを向けた相手だ。 それまで名前さえ知らなかった。 その日の内に電話番号を渡された。よくあることだ。 それから何度かこうして身体を重ねている。 「帰るの?」 女はベッドの中から不満そうな顔で俺を見上げた。 「ああ。明日早いんだ。」 背中に、聞こえよがしに溜息を投げつける。 俺は聞こえないフリでシャツの袖に腕を通した。 これが最後だ。 俺がじゃない、女のほうがそう思っているはずだ。 おそらくもう連絡も無いだろう。 もしどこかで顔を合わせたりしても、知らん顔で通り過ぎるはずだ。 欲しがるものを与えなかっただけで、 こうもたやすく終わらせることができてしまう。 女は打算的でズルイ。 冷静で、 冷血だ。 そう、思っていた。女を知ってからもう何年も。
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