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「その……第一公園のホームレスなんですけどね、うちの娘が言うには、日が沈むまで西ノ浦町のゴミを拾ってるって言うんです」
若い父親は目を丸くする老人たちに向けて言った。
「いやいや、小金井さん、そりゃボランティアのやるゴミ拾いと違って、ゴミ集めて飲み食いしてんだよ。気持ち悪いだろ?」
「いや、僕もそうだと娘に言ったんですけどね。そうじゃない、と。この町を掃除してるんだよと娘に怒られたんですよね」
老人たちはこの若い父親に肩をすくめた。
「じゃあ、なにかい。小金井さんは第一公園にホームレス居させていいんじゃないかって?」
「いえ、そうは言ってません。事実はどうなのかなと思いましてね。過去はどうあれ……」
町内会長が少し嫌な顔をして言った。
「小金井さん、事実が綺麗に掃除してくれてるなら、感謝すべきとでも言うのかね? そもそもおかしいだろ? 身寄りがなけりゃ更生保護施設に入るはずだ。一応、生活保護も受けられるわけだし。わしらの税金から出るんだから、たまったもんじゃないが……。それが、ここの公園でホームレスやってるって時点で、過去も含めてさ、信用やら感謝やらできないよ。小金井さん、あんた優しい。だが、過去は過去でも、過去というのはれっきとした事実よ。あんたの娘さんが何かあってごらんよ。な?」
若い父親は、そうですね、と頷いた。
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