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鼓膜が破られる!
私は大きな音が嫌いだ。
運動会の鉄砲の音。
打ち上げ花火の音。
風船の割れる音。
犬の鳴き声。
運動会なんて競技の時は、耳を塞いでいた。
自分のときは我慢した。
周りからからかわれたが、
『まるでピストルの銃口を耳にグイグイ押し付けられて撃たれて、鼓膜を破られてしまう』
ような衝撃や恐怖があるのだ。
打ち上げ花火の音もだめなので、花火大会なんて行けなかった。
家の近くで打ち上げ花火が打ち上げられ時は、いつも耳を塞いで時間が流れるのを待っていた。
町内会の行事でたまに、風船割りがあった。
冗談じゃない。
だけど家族が休ませてくれなかったから、しぶしぶ行った。
風船割りは物置に行き、耳を塞いでいた。
路地裏で垣根の下から突然犬が出てきて吠えられるのも怖かったから、静かな路地裏を歩く時はビクビクしていた。
私は大きな音が嫌いだった。
その音だけが、他の音や風景からくり抜かれたように、際立って聞こえてしまうのだ。
それは今も変わらない。
だから私は花火大会には、行ったことがないし、家の近所から打ち上げ花火が打ち上げられる日は、遠方に避難している。
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