殺し屋

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殺し屋

「はじめまして、メメと申します。殺人依頼の確認に参りました。」  1人の少女が顔に傷のある男に告げた。  とあるビジネス街の一角、タバコの香りが漂う部屋。そこに似つかわしくない2人のセーラー服姿の少女。齢は17、8だろうか。1人は高級な黒革のソファに少女が腰を掛けている。黒髪にポニーテールの少女。先程目的を告げたのがこちらだ。  もう1人壁際でつまらなさそうにしている薄っすらと茶色かかった髪のショートボブの少女。こちらは声を発する様子もなければ動く様子も無い。 「おう、そうか。にしても嬢ちゃんら、ずいぶん肝が据わっとるのぉ」  顔に切り傷のある男、明らかに堅気ではないその男は楽しそうな声で目の前の少女を見据えている。その目は楽しそうな声とは裏腹に、背後に飾られている研ぎ澄まされた刃物のように、鋭かった。 「慣れていますので。」  ソファに座っている少女は一切感情を出さずに短く答えた。 「にしても、殺し屋がこんな可愛い奴らとは思ってもなかったぜ。クニ公認の殺し屋って少ねえんだろ。確かクニに十人程度しかいねぇとか。本物、なんだろうな?」   顔に傷のある男隣にいた柄シャツの男子に確認をとる。 「はい!組長!間違えありやせん。クニにも確認とってありやす。」 クニ、柄シャツの男にはそう言った。  今から約15年前、増え続ける極悪犯罪に対応しきれなくなった政府は苦肉の策としてとある法を制定した。  特定条件下殺人許可法  それが新たな法律であった。それは文字通り条件を満たせば殺人を認める、と言うものだった。それにあたり、政府は殺人許可証を発行し、それを得たものは政府公認の「殺し屋」となった。  クニに14名しかいない殺し屋その内の1人がメメであった。
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