君は僕のお気に入り

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「お、そろそろだな」 気が付けばちょうどいい時間になったので院長室へ向かうことにした。 ここで再び緊張感が蘇り、大きく深呼吸をして、ドアを叩く。 「相川です」 「入りなさい」 「失礼します。」 「よく来てくれたね、相川先生まぁそう固くならず、座って座って」 「は、はい…失礼します。」 木製のテーブル隔てて院長と向かい合う。 「最近、調子はどうかな?」 「えぇまあ、ぼちぼちです。今日の手術も問題なく終了しました。」 「そうか…。私はね、君の実力は素晴らしいと思っているんだ。」 「あ、ありがとうございます」 「実力も素晴らしいが、私個人的に君は実に誠実な人柄だと思っている。」 「は、はぁ…」 「だが…君は、世帯を持たない気かい?」 「へ…ぇっ…?」 相川は思わず間抜けな声を漏らす。どうしてそんな話になるんだとか、何故そんなことを聞くんだとか、何を言い出すんだとか相川の頭の中は疑問でいっぱいになった。 「私はね、自分の教え子には是非とも幸せになって欲しいと願っているんだよ。」 「は…はぁ…。先生、何故急にそのようなことを…?」 「嗚呼、誤解させてしまったならすまない。強制する気は勿論ないよ。ただ、私の顔を立てるという意味で、ひとつ頼まれて欲しいのだが。」 「…頼み、ですか?」 相川が一体何事か疑問に思い首を傾げると 「先生、お待たせしました」 という聞き覚えのある声と 「入りなさい」 そう言われて入ってきた人物に相川はさらに驚き混乱することになるのだった。
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