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私服に着替えて、病院を出ると車を走らせ、水野の元へと急いだ。彼の顔を早く見たくてたまらない。苛立つことは無いが、前を走る車がやけに遅く感じる。
家に着きインターホンを鳴らすと、水野はまるでその場で待機していた犬のように勢いよくドアを開けた。
「うっ!」
「先生!お待ちしてました!…ってあぁ!すみません!!ごめんなさい!」
爽やかな笑顔で何も確認せずに、外開きのドアを思い切り開けた為に、近くに立ってた相川にドアを思い切りぶつけてしまったのだ。
「お前…せめて確認してからドアを開けろ。」
「す、すいません…」
「まぁ今回はいい…。次から気をつけろよ。…腕の調子はどうだ?湿布貼ったか?」
「あ、はい。しっかり貼っておきました。良かったら上がってください。お茶淹れるので。」
「いや、大したことじゃないから大丈夫だ」
「俺が大丈夫じゃないんですっ上がってください。」
「…わかったよ。」
結局、相川は甘い。水野の無邪気な笑顔やあからさまな悲しそうな顔、彼のコロコロと変わる山の天気のような表情にとんでもなく振り回されるのだ。
(普段からこんな簡単に人招き入れたりしてねぇだろうなこいつ…)
そんな心配をしてしまうのもまた、相手が水野だからなのだろう
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