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「思ってたより片付いてるな。」
「本当ですか?よかったー。お茶淹れますね。座っててください」
「あ、あぁ。」
相川は思わず部屋をキョロキョロと見渡す。非常に殺風景な部屋だが、俗に言うミニマリストというやつだろうか。極端にものが少ない。
「どうぞ。緑茶で良かったですか?」
「ん、あぁ。」
お茶を出し終えた水野は相川のすぐ横に座る。
「あ、もしかして怪我心配してきてくれたんですか?」
だとしたら嬉しいなぁとでも言いそうな笑顔を浮かべる水野。本当によく笑う。相川は無性にその姿を見て彼が愛おしくなってしまう。
「…あのさ、お前俺の恋人なんだよな?」
「はっ…はい」
「ならせめて2人の時は先生っていうの辞めないか?」
「えっ…じゃっじゃあ…相川…さん?」
「名前がいい。」
「なっ名前…ですか!?」
顔を真っ赤にしてわたわたとする水野を逃すまいと腕を痛くない程度にしっかりと掴んでじっと見つめる。
少しの間2人とも黙っていたが、そらすことなく見つめられた水野はやがて観念したように小さな声で
「…る…ん」
「そんな小さな声じゃ」
相川は突然水野の顎を掴んで自分の方に向けさせた。
「聞こえない。もっとハッキリ、ほら。俺の方向いて、呼んでみろ」
「まっ…守…さん」
「なんだ?」
相川は水野の顎に手を掛けたままさらに顔を近づけた。
「いっ意地悪っ…ですっ」
羞恥から真っ赤になって涙目の水野を虐めたくてたまらない欲求に駆られる。しかしこれ以上いじめては本当に泣いてしまうかもしれない。そのリスクを踏まえて相川は何とか踏みとどまった。手を離して距離を少し空けた。
「まぁ…慣れたらでいいぞ。さん付けなしは」
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