君は僕のお気に入り

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君は僕のお気に入り

翌朝、その日外来はない相川だったが、午前中の内に入院中の担当患者の様子を見に行き、カルテを記入。その他諸々仕事を済ませると、あっという間に昼時になり、午後からは大きな手術が1件入っている。その上今日は当直だ。 そうでなくとも医者の1日は慌ただしいもので、昼休憩なんて仕事をしながらなんてザラにあり、珍しくゆっくり食べれる日でも常日頃の忙しさの影響で、どうしても無意識にサッと食べられるものを選び、早食いになってしまうものなのだ。 「先生ー」 「おっ佐藤か。どうした?」 「502の日野さんまた脱走しましたよー…。お陰で探し回ってお昼ろくなの買えませんでした…。」 「またか…。俺の弁当分けてやろうか?」 「えっいいんですか?先生時間ないのに自炊して弁当持ってくるとか凄いですよねぇ、しかもメシウマ。」 「ってかお前彼女さんに弁当とか作って貰ってないのか?或いは自炊とか。」 「彼女まだ引越しの準備してる真っ最中なんですよー。お互い看護師だから時間無い者同士だし、俺すごい不器用ですから。」 「へぇ、看護師同士なのか。」 佐藤はポカンとした顔で、相川の顔をじっと見つめた。 「先生、どうしたんですか?」 「なにがだ?」 「いつもの先生なら、彼女の友達とか誰か可愛い子紹介してくれよーとか言いそうなのに…」 「え?あー…まぁちょっと、な。」 「えぇー…先生らしくない。」 「うるせぇよ…」 相川は少しバツが悪そうに呟くとご飯を一気にかきこんだ。 「まさか先生、彼女出来た…とかですか?」 「はぁっ…?そんなんじゃねぇよ」
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