君は僕のお気に入り

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「そんなんじゃないのか、良かったよ」 突然の背後からの声に2人はしこたま驚き、相川はご飯を喉につまらせ、慌てて水を飲むとすごい勢いで振り返った。 そこで相手の顔を見て、更に慌てて立ち上がり頭を下げた。その時には既に佐藤は頭を下げていた。 「お疲れ様です先生!」 「お疲れ様、相川先生、佐藤くん。直っていいよ。」 この病院の院長加藤は、医師にしてはなかなか高齢の78歳だが未だに現役で手術を担当することさえある。かつては大学病院の教授にまで上り詰めたが、現役で居たいという願いの元、この病院を設立した凄腕の持ち主なのだ。 彼が大学病院を辞める際、中でも気に入った医学生の教え子5人を卒業後そのまま自分の元へスカウトし、研修させ、医師として育て上げたのだ。相川もその内の1人で、相川からしてみれば本当に大先生という訳だ。 「先生、なにか御用でしたか?」 「いやぁここじゃなんだし、16時に私の部屋に来てくれるかな?」 「御意」 「それじゃあ失礼するよ。」 院長が立ち去ると2人は一気に脱力して再度椅子に座り込んだ。 「こわかった…先生なんかしたんですか?」 「…」 「先生っ!せめて否定してくださいよぉ不安になるじゃないですかっ俺とばっちりですよ」 「多分何も…してないはずだ。」
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