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ボクは せいいっぱい いきる
ものごごろ ついたときから、ぼくは おんがくか として くらしていました。
まわりには なかま が いて、いっしょに がっそう をする せいかつ です。
あるひ ぼくは、おんなのこ に こい をしました。
「きみがすきだ!」はっきりとつたえたけど、どうやらぼくとはちがう おとこのこ が すきみたいです。
かみさま ぼくは…なんのために うまれてきたの?
たくさんかんがえました。なきました。
だけど、ぼくには えんそう を つづけることしかできません。
いつしか、ぼくの まわり は たくさん けっこん し「がっそうだん」から ぬけていました。
きづけば えんそう を つづけていたのは ぼくだけでした。
そんなぼくにも じゅみょう が きました。
えんそう も よわよわしいものになり、しだいにちからつきて、じめん へと たおれてしまいました。
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「あ、セミさん が しんでいるよ!ママ!ボク、うめてあげる。」
「あら、やさしいのね。スコップはここよ。」
「ありがとう!ねぇ、セミさんって つちから でたら 7日間(なのかかん)しか いきられないんだよね?こんなみじかいなんてかわいそうだよ。」
「そうね、だからきっと いきている あかし として、せいいっぱい ないているの。
かぎられた いのち であることは セミさん も にんげん もおなじだわ。
だからあなたも1日(いちにち)1日を たいせつ に すごして、『いきててよかった』っておもえる じんせい に しましょう。」
「うん、むずしいけど なんとなくわかったよ!」
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しょうねん と おかあさん の こえ は、ぼくの みみ に、しっかりと とどいていました。
ぼくは つちのなか から 「ありがとう」 とこえをかけて、やすらかに め をとじました。
それはボクの、ひと夏(なつ)の思い出(おもいで)。
それはぼくの、一生(いっしょう)の思い出。
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