ボクは せいいっぱい いきる

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

ボクは せいいっぱい いきる

ものごごろ ついたときから、ぼくは おんがくか として くらしていました。 まわりには なかま が いて、いっしょに がっそう をする せいかつ です。 あるひ ぼくは、おんなのこ に こい をしました。 「きみがすきだ!」はっきりとつたえたけど、どうやらぼくとはちがう おとこのこ が すきみたいです。 かみさま ぼくは…なんのために うまれてきたの? たくさんかんがえました。なきました。 だけど、ぼくには えんそう を つづけることしかできません。 いつしか、ぼくの まわり は たくさん けっこん し「がっそうだん」から ぬけていました。 きづけば えんそう を つづけていたのは ぼくだけでした。 そんなぼくにも じゅみょう が きました。 えんそう も よわよわしいものになり、しだいにちからつきて、じめん へと たおれてしまいました。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 「あ、セミさん が しんでいるよ!ママ!ボク、うめてあげる。」 「あら、やさしいのね。スコップはここよ。」 「ありがとう!ねぇ、セミさんって つちから でたら 7日間(なのかかん)しか いきられないんだよね?こんなみじかいなんてかわいそうだよ。」 「そうね、だからきっと いきている あかし として、せいいっぱい ないているの。 かぎられた いのち であることは セミさん も にんげん もおなじだわ。 だからあなたも1日(いちにち)1日を たいせつ に すごして、『いきててよかった』っておもえる じんせい に しましょう。」 「うん、むずしいけど なんとなくわかったよ!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ しょうねん と おかあさん の こえ は、ぼくの みみ に、しっかりと とどいていました。 ぼくは つちのなか から 「ありがとう」 とこえをかけて、やすらかに め をとじました。 それはボクの、ひと夏(なつ)の思い出(おもいで)。 それはぼくの、一生(いっしょう)の思い出。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!