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「とはいえ、ジャムもコンフィチュールも使い方はほとんど同じです。パンにのせて食べたり、料理に使ったり……。よかったら、ちょっと食べてみますか?」
「えっ。そんなのありですか⁉」
驚いたみのりの口からは、よくわからない返事が飛び出した。
それに虚を突かれた顔をした男を前に、ハッと目を見開いたみのりは、数秒間沈黙してから今度は苺のように顔を真っ赤に染め上げた。
「すっ、すみません! 変な言い方して……! ちょっと興奮してしまって……」
恥ずかしい。穴があったら入りたいとは、まさにこのことだ。
そんなのありですか、ってなに。
普通に、「いいんですか?」って聞き返せばよかったのに。
「ふ……っ、ハハッ」
「え?」
「あ、いや、すみません。なんだか面白い人だなぁと思って」
けれど、予想に反して男はクツクツと喉を鳴らすと、楽しそうに笑った。
そして自身が持っていた瓶を棚に戻すと、みのりが持っていた瓶をヒョイッと軽やかに取り上げる。
「試食、普通にありですよ。ちょうど今朝、近所のパン屋で買ってきたバゲットがあるので、それにのせてみましょうか」
男は踵を返すと、みのりの返事を待つことなくまた颯爽と店の奥に消えてしまった。
そして、すぐにスライスされたバゲットの入ったバスケットと小皿、スプーンを持って戻ってくると、それをレジスター横の小さなカウンターの上に置いた。
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