雨宿りには苺を添えて

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雨宿りには苺を添えて

  「ああっ、もう! 天気予報の嘘つき!」  六月は第一土曜日の昼下がり。  西富(にしとみ)みのりは予想外の雨に打たれながら、神奈川県・藤沢の町をひた走っていた。  ──カッ、カッ、カッ、カッ。  靴のヒールがアスファルトを蹴る音が、雨音に混じって閑静な住宅街に、むなしく響く。  いつの間にか迷い込んだ路地は迷路のような造りをしていて、目的地である【本鵠沼駅(ほんくげぬまえき)】に辿り着ける気配はなかった。  
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