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私は離れていったあなたを見つめる。
「バーカ、いい加減夢みたいなこと言うのやめろ」
隣に来たのはコウタ。
「バカとか夢とか言わないで!」
私はふいっとコウタから離れた。
「そんなかわいいこと言うからリリを構いたくなる」
スッとくっつかれて私は慌てて逃げる。
「タクマ、嫌われてやんの!」
コウタがケラケラと笑った。
「いいよ。どうせここには僕とお前とリリしか居ないから」
タクマはコウタを見てふわりと笑う。
「…あいつはあの男しか見てねぇよ」
コウタはちらっと遠くを見てタクマに視線を戻した。
コーヒーカップを持ってイスに座り、のんびりコーヒーを飲んでいる男。
テレビをつけて、新聞を読んでいるその人物。
「あれは人間だろ?リリだってあんなのに恋したってムダなこと…そろそろ気付くって」
タクマはコウタの隣でその人物を見てからフッと笑った。
「ムダって言っても聞かねぇんだよ。リリは…」
コウタはコーヒーカップを持って立ち上がったその人物をじっと見つめる。
「いってくるね!」
にっこり笑って男はかばんを持ってすぐ側にある鍵を掴んで出ていった。
「早く諦めろよ…」
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