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プロローグ
図書館が好きだ。
静かな場所だけど、ちっとも恐くない。
人はいるけど、ほとんどが知らない人。
周囲のことを気にしなくても、なぜだか安心できる場所。
私は、本を読むことよりも、図書館という空間そのものに魅力を感じていたんだと思う。
もちろん、読書は好きだけど、昔からそうだったわけではない。
小学生の頃は読書感想文が宿題であったから本を読んでいただけだし、中学生になってからは国語の文章問題で思うように正解することができなくて、勝手に自分は読書には向いていないのだと思っていた。
そんな私が、図書館に足繁く通うようになったのは、大学受験を控えた高三の春休みからだった。
やりたいこともなりたい職業も特になかった私は、当然行きたい大学も特になく、志望校を決めるところから受験は難航した。
周りの友達は、少なくとも第一志望だけは決まっているという人が多く、みんなどうしてそんなに明確な意思があるのか、不思議でならなかった。
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