第一章 窓辺にて

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 しっかりとキャラが立っている二人の間にいる私は、自分で言うのもなんだけれど、本当に普通の女の子だ。  髪は肩にかかるくらいまでで、特にこだわりはない。  顔については親から〝偏差値五十〟という評価をもらっていて、それでも十分ありがたいと私は思う。  自己紹介では名前だけ言ってその先が続かないタイプ。  だからきっと、目立つ二人の調整役にハマるのだろう。  麻里がビビッと来た、と言うのにもうなずける。  バランスのとれた三人組だとは思う。 「今日は二限で終わりだし、駅の近くのお店を探してみない?」 「お、いいねぇ、さんせー」 「私もそれでかまわないわよ」 「じゃあ、行こうか」  私たちの通う大学は吉祥寺駅が最寄りで、ここは住みたい街ランキングの上位に入る。  立地が理由でこの大学を目指したという人がいても不思議じゃないと思う。  駅周辺にはたくさんのお店があって、入学してまだ半年の私たちには、まだまだ行ったことがないお店も多い。  最近は何を食べたとか、今は何が食べたいとか、麻里を中心に話し込みながら進むと、細い通りにあるオシャレな洋風のカフェが目に留まった。
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