第一章 窓辺にて

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 基本的に話をリードするのは麻里だけど、恵も私もおとなしく聞いているわけではない。  三人が三人とも自由に発言をして、いつの間にか話題が変わっていて、会話が途切れることはほとんどないのが私たちなのだ。 「あ、もうこんな時間だ」  麻里のこのセリフが、お昼休みの終わりの合図だ。  次の予定があってもなくても、時間によらず突然言い出すので、恵と私はこれを指して『まりタイマー』と呼んでいる。もちろん本人には言っていない。  『まり』はちゃんとひらがなだよ、ということももちろんナイショ。  お会計は決めてはいないけど、だいたいいつも私が担当する。  麻里は端数とかほとんど気にしないで、適当に三等分したお金を渡してくるけど、恵がそれをいさめる。  「こういう雑さはいずれ不要な軋轢を生むの」って最初の割り勘のときに言われたけど、過去に何かあったのかなって気になっちゃう。  とまぁ、ここまでで私たち三人の様子はなんとなくわかってもらえたかな。  傍から見たら噛み合っていないような感じもするけど、私はこの三人で過ごす時間をとても気に入っていて、居心地がいいのだ。  麻里と恵も同じように思ってくれているといいけど。
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