新しい仲間

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練習試合は上の学年優先で、というのも入部時点で承知していることだし、当たり前だと思うから、全然問題ない。たまに、相手チームとの話し合いで、一・二年主体のチームでの練習試合とか、そういうこともあるし。 入学して一か月もする頃には、だんだん各自の立ち位置もはっきりしてきた。 俺と健斗と一徹は各ポジションで戦力になるから、練習試合の日に全く出番がないということはあまりない。 でも、俺は当然のことながら練習でも練習試合でも全開で動くことはしていない。 変な意味じゃないんだ。 俺が真面目に動いたら、誰とも絡めなくなっちゃうと思ったから、周りを見てその上限くらいを狙ってスピードや強さを調整してる。 サッカーはチームプレイだ。 俺たちが木田を俺たちの色に染めたように、今回も俺がこのチームに染まる方が早いと判断した。もちろん、俺を使いたがっている上級生の気持ちはわかってるから、チームに入ったときにどういう使い道があるかをわかりやすく見せるようにしてる。 俺の、どこをどう切り取って使うか、決めるのは上級生だ。 木田たちは、木下にチームを任せるという選択をしたけれど、あれは全国を狙ってのこと。俺たちは、そうじゃないから。 俺の仕事は、数年かけてこのチームを常勝チームに引っ張り上げ直すこと。 そのために必要なことは、俺以外の選手での得点率を上げること。 もう、課題は明確なんだ。 だから、俺がいくら一人で走り回ったって意味がない。 練習試合なんて、どれだけ負けたっていい。 俺が何点取るかとか、どれだけ試合に出るかとかも、どうだっていい。 俺の仕事は、夏の公式大会で勝ち進むために、ここからチームを鍛え上げること。
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